親子英語で欠かせない取り組み英語絵本の読み聞かせ。
そこから子供が自分で本を読めるようになったら今度は英語多読の道へというのが王道のようです。
うちの子もそうなってほしいなぁとは思っていますし、大人も英語力を向上させたいのであれば多読は避けては通れない道のようなので自分のためにもちゃんと多読とはなんぞやを調べておきたいと思い多読に関する本を読んだりネットで取組中の方のブログを読んでみたりしました。
今回読んだ本はこちら
英語多読とは?
英語力をつけてから英語の本が読めるようになるというイメージの方は多いと思いますが、たくさんの英語の本から英語で学び日本語を介さずに英語力を高めるやり方が効率がいいよというのが英語多読の概要。
日本語を介さないことで読書スピードが上がり、英語のリスニングでも瞬時に意味がわかるようになるためリスニング能力も上がる、話すときも読書により蓄積された英語表現知識から選んで話せるようになるのでスピーキング能力も上がるというのです。
日本での英語多読はこの本の監修者であり英米児童文学・英語教育を専攻されている酒井邦秀准教授(現在NPO多言語多読の理事長)や著者の繁村さんなどの活動とインターネット上での多読実践者達による多読の取り組みとその実際の成果の紹介などによってここ10数年くらいで普及してきたもののようです。
英語多読の基本的な考え方から、素材の紹介・探し方、実践者の体験談など、多読に必要なことすべてがわかります!…
ただしこの考え方自体は、明治の文豪夏目漱石なんかも同じことを言及しています。
英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい、少し解らない節があって其処は飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには解るようになる、又前後の関係でも了解せられる、其れでも解らないのは滅多に出ない文字である、要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい、即ち幾変となく繰り返し繰り返しするがよい、ちと極端な話のようだが之も自然の方法であるから手当たり次第読んでいくがよかろう。
夏目漱石『現代読書法』
昔から英語力を底上げするためには通らなきゃいけない道ではあったようです。
明治期の人はそれまでの日本にない概念を紹介するのに日本語訳を作っていた人達ですから、英語のまま理解せざるをえなかったというのもあるかも。
読むだけで英語力があがるなんてと思われる方々も多いかもしれないんですが、そもそも日本人は英語の読み書きの勉強に偏ってると言われているわりに日本語で読んできた本と同じくらいの量で同じような内容のものを読んできたのかというと全然そんなことないのですよね。中高大学などで読んできた英語文の量は英語圏の小学生達に余裕で負けるでしょう。それでいて「日本語と同じくらいに英語がペラペラにとか無理に決まってるでしょ」と言われれば「ですよねー・・・・・」としか言いようがございません。
多読3原則
多読の方法はシンプル。
NPO多言語多読の掲げる多読の3原則です。
1.辞書は引かない
2.わからないところは飛ばす
3.合わないと思ったら投げる
多くの人がやってしまっているのは読むときに「頭の中で一回英語から日本語に訳して理解しようとしている」という間違い。
そのためどれだけTOEICなどの英語の試験で高得点が取れていても絵本レベルからのスタートをすすめられます。
英語を英語のままで理解できるように、訳さなくても理解できるレベルの本から辞書を引かずに読む。
わからない単語が出てきたら前後の文脈からこれはこういう意味かなと見当をつけて、それでもわからないところは飛ばす。
辞書をひかないってどういうことと思われる方も多いかもしれないんですが、もしこの方法で読んで楽しめなかったら今の自分にはあってないということです。8,9割わかって後の数割だけわからないくらいのものを読む。あわなかった本は多読を続けて自分のレベルが上がったら再チャレンジ。時間をかけて一冊読むより早くたくさん読めるものからどんどん読んでしまいましょう、そのために自分の好きな本を楽しんで読みましょうというのが3の合わないと思ったら投げるです。
これは子供の時から自分の読みたい本を選び、そして読むときの自然なやり方に近いですね。
確かに日本語の本を読んでる時は辞書そんなにひきませんもんね、めんどくさくて・・・・。そしてそもそも難しそうな話は避けて簡単なレベルから読もうかなというところが読書のスタートのはずなんです。
しかし絵本レベルの英語が侮れないのは子供に読み聞かせで英語絵本を読んであげた方ならよくご存知ですよね?
私も児童書に出てくる英語単語を調べてみてこの単語は英検一級以上、専門用語となっているのに何度か遭遇しました。
日常ではよく使うかもしれないけれど、英語の試験には出てこない。そんな単語やイデオム、口語表現がいっぱい出てくるんですよね。
今回読んだこちらの多読の本にはなんどもなんども出てきてどうしても知りたい単語だけ辞書をひいてもOK、英英辞典で調べるのはむしろ推奨と書かれていました。
精読とは?
ネットで多読関連のことを調べていると並行して出てくるのが「精読」というワード。
こちらは多読の反対みたいなイメージで文章全部を完璧に理解できるように納得いくまで調べるというやり方。
多読ではわからない部分は読み飛ばすことが推奨されてますが、実際に多読に取り組む方の中には多読だけだと結局ある程度のレベルになると頭打ちになってくるので精読の機会も作ったほうがいいとおっしゃる方も多いようです。
これは私も単語とは別に一定のレベル以上になったら文法やイデオム(ことわざ)、文化風習を知らないとどうしても意味が取れないのではないかと思うものがあるので賛成です。
ですがこれもいろんな種類の本を偏りなく読んでみることでカバーできますよというのも多読派の主張のようです。
例えば
図鑑とか国語ドリルとかことわざ辞典とか子供のころ何気なく読んできた本たちの英語版、確かに読んできてないわ・・・。
多聴とは?
多読のリスニング版という感じ。
同じく8、9割がた意味が分かるものを頭の中で日本語に訳さずにいっぱい聞くというところがポイント。
著者の方は多読で辞書をひかないように日本語字幕どころか英語字幕もない状態で聞くことをすすめています。
聞こえたものを口に出していうシャドーウィングや文字に書き出すディクテーションの紹介もありました。
これも多読でいう「精読も必要派」がいるように、わからないところをわからないままにしておくといつまでたっても聞き取れるようにはならないので、話されている内容を英語字幕なり本などで同時に字を目で追っていくことをすすめる人もいます。
ただ話す速度と同じように追っていけるためには頭の中で日本語に変換してるようではだめなので多読での読む速度レベルアップはありきみたいですが。
まとめ
多読にしろ多聴にしろ人によっておすすめのやり方が若干違うのですよね。
子供の自然な学習過程をふりかえると著者が薦める方法は理にかなってるのですが、すでに学校で英語をある程度学習して知識がある人には精読や答え合わせ的なリスニングによる多聴の方が効率がいいのかもしれません。