毎日ういちゃんに寝る前に絵本の読み聞かせをしています。
こないだ英語絵本をかったのですけど、そのなかでてんとう虫のことをlady birdって書いてありました。
ん?てんとう虫ってlady bugじゃなかったっけ? イギリス英語と、アメリカ英語の違いかな?とちょっと気になって調べてみた。
やはり地方による差みたいでイギリス英語だとlady birdなんだそう。
でもどう考えてもbirdじゃないよね。そして厳密にはbugでもなくてbeetleに分類されるのでlady beetleやladybird beetleって呼ぶこともあるみたい。大概の人はどっちでもいいじゃんって思うんだろうけど、その道の研究者たちはこだわるのね。
ちなみにイギリスでbirdって呼ぶのは鳥だと思ってたわけでなくて飛んでる小さいものに対する一種の比喩表現みたい。恋人のことを「わたしのかわいい小鳥さん」とか呼ぶような感じ?
そしてこのladyはキリスト教の聖母マリア様のこと。
Marienkäfer(ドイツ語)のように他の国でもてんとう虫は「マリアの虫」と言うのです。
これはマリアが着ていたといわれるマントに星が入っていたからだそう。
マリア像を画像検索してみると確かに青いマントに星が入ったマントきてる絵がでてきます。 こちらは赤いマントにひし形模様がついたマリア像。なるほどてんとう虫だ。星の形やマントの色はかわっていったのかな?
そもそもマリアが星の入ったマントを着ているのは、キリスト教布教前に民間に定着していた女神様の特徴を継いだから。その神がイシス。
イシスは永遠の処女であり、夫オシリスの死後、処女のまま神(ホルス)を身ごもる。ホルスをだいたイシスの像が教会にあった。
キリスト教の隆盛とともにイシス信仰の教会がキリスト教信仰の教会へ置き換わった際にそこにあった像の意味をマリアとイエスに置き換えたんです。だから像のマントはそのままマリアの特徴になったし、マリア信仰へとつながっていく。
そんなわけでキリスト教圏ではマリアの虫であるてんとう虫は殺してはいけない大切な虫、幸せを呼ぶ虫とされている。
そして冤罪を掛けられていた男が審議の最中自分にとまったてんとう虫をそっと逃し、その後隣にいた真犯人がてんとう虫を殺したのをきっかけで事件を調べ直して真実が明らかになったという話がある。
これを知らないと法律事務所の名前にてんとう虫が使われる意味がわからない。
漢字圏で医療系の機関の名前に杏林ってつける意味がわからないようなものですね。(有名な漢文からです。気になる人は自分で調べてみてね)
わー、てんとう虫からなんかすごいもの出てきちゃったぞ。奥深すぎる。
でもこれが言語を学ぶってことだ。
単語の意味だけわかってれば大抵の場面で困らないかもしれない。でも知ってるのと知らないでは背景から読み取れるものが全然違う。
てんとう虫のことだけじゃなく、英語圏で育った人は当然のように知ってて、でも日本人の私が知らないことはもっと色々あるでしょう。
英語圏の文化と教養を持って育ってない私がそれらを子供に教えることはできません。
英語でのインプットを中心としたバイリンガル育児……無理だよ。
私自身がぶれないように一年ほど前にまとめた英語教育へのスタンス。その中で参考にしたバイリンガル教育への難しさ。それを読んでバイリンガルはいいやって私の中では結論づけたわけですが、ああ、こういうことですねと改めて実感するのでした。
私にできるのは日本人としての文化と教養をしっかり伝えること。
そしてそれを日本以外の人にもちゃんと伝えれる子にすること。
英語のことは教えるんじゃなくて一緒に学ぶ。
それがうちの英語教育。