最近Each Peach Pear Plumという絵本を寝る前に読むことが多いです。
この絵本、英語圏で有名なおとぎ話のキャラクターが出てきて、それがどこにあるか見つけるというI Spy(探し物)系絵本なのですけど、出てくるキャラクターに知らないものがたくさんありました。
Cinderella(シンデレラ)とかRobin hood(ロビンフッド)は日本でもお馴染みですが、Tom thumbやBo peepとかJack and Jillなど、一般的な日本人には解説なしにはわからないでしょというものがたくさん。
しかし英語圏ではシンデレラなどと並んで、子供が知ってて当たり前くらいのおとぎ話としては有名どころばかりなはずのもの。
ということで一通り調べてみました。
このお話、文字だけではない隠れた情報がいっぱい描かれているのですね。
登場人物たち
Tom thumb
親指トムとしてしられているお話。
いわゆるイギリス版一寸法師。親指姫の男の子版です。
日本でも1960年代後半に『001/7親指トム』というアニメが放送されているようなのですが、007にちなんだスパイ・探偵ものらしいです。
Tom thumbはグリム童話にまとめられたりと知名度はあるものの、英語圏でもあんまり映画化やアニメ化はされていません。
小人症といってある時から体が成長しなくなる病気の方がいるのですが、そういった方達がTom thumbと呼ばれ不当な扱いをうけてきた歴史とそれへの人道的配慮みたいなものもあるのかも。
はらぺこあおむしで有名なEric carleさんがTom Thumbの絵本を2011年に出版しているようなのですが、現在日本では買えないみたいなのでアメリカamazonとかを当たってください。
お手頃価格なペーパーバックでもTom thumbのお話があるのですが日本ではお取り扱いがないです。
Mother Hubbard
マザーグースの歌に出てくるOld Mother Hubbard(ハーバードおばさん)のこと。
・・・って言ったところでハーバードおばさんの歌を知らないわけですが、youtubeにありました。ネット万歳。
うーん、そこそこ有名どころのマザーグースは子供のころから聞いてきているはずなんですが全く聞き覚えがなかったです・・・・。
歌の歌詞は犬が死んじゃったと思って大慌てするものの犬のいたずらだった、とかなかなか飼い犬に振り回されているのですが、内容が教育的ではないと教材からはずされるのかなー?とはいえyoutubeでの「Old Mother Hubbard」でのヒット数を見るとやはりとても有名なことがわかります。
boneとnone、breadとdead、coffinとlaughingなどとてもわかりやすいrhymingの歌ですね。
歌の中でCupboardのなかを探すので絵本のページでTom thumbがそこに隠れているわけです。
犬もちゃんと出てきてますね。
Oh my gash!と同じような感嘆符としてMother Hubbard!っていうこともあるようです。
ちょうど最近ディズニーデラックスで見たシュガーラッシュのちょっと生意気なヒロイン、ヴァネロペが続編映画の『シュガーラッシュ・オンライン』の中で言ってました。
でもかなりくだけたスラングなのであんまりマネしない方が良さげです。
Cinderella
シンデレラは有名すぎるほど有名なので今更説明はいらないですよね。
シンデレラ=灰かぶりなのですが、この絵本の中ではハタキを持ってお掃除をしています。
Mother Hubbardのお家でシンデレラがお掃除しているのはMother Hubbardの歌詞にyour servant(歌の中では犬に言うので「いい子ね」くらいの意味)とあるのでservant(召使い)として働いてるんでしょうか?
Three bears
猟銃を持って二足歩行している3匹のクマが出てきます。
3匹のクマと言えばGoldilocks and the Three Bears。
パパクマ、ママクマ、お子ちゃまクマさんたちのおうちに迷子のGoldilocks(金髪)の女の子が上がり込み、クマさんたちが出かけている間に用意されていたご飯を勝手に食べてベッドに寝てしまうというストーリーのお話です。
当然他人様の家でそんなことしちゃダメですよっていうしつけのためのおとぎ話。
これはちょくちょく見かけるお話なので、知ってる人も多いかなと思うんですが。
熊が出てくるページでシンデレラが金髪なので、やはりそれとのセットなのかな。
Baby bunting
こちらもBye, baby buntingから始まるマザーグースのこもり歌が元ネタ。
buntingは薄くて長い布で赤ちゃんのおくるみのことをさします。
そしてhuntingと韻を踏んでいるわけですね。
歌ではdaddyが赤ちゃんを包むためにウサギを狩りに行くのでbuntingはウサギの皮のことみたいです。
このうたの歌詞ではhuntingは赤ちゃんのお父さんがしているのですが
前のページでクマさんたちが狩りをしているのはそこからきているみたい。
Bo peep
羊飼いのおんなのこで先の曲がった杖をもっています。
こちらもLittle Bo-Peepという歌が元ネタです。
全然認識してなかったけど歌は聞き覚えが・・・。
Bo-Peepという名前の女の子は大抵スカートをはいていて先の曲がった杖を持っている姿で描かれます。
どこかでみた覚えがありますか?
はい、こちらはトイストーリーに出てくるおもちゃのお嬢さんBo peepさんですね。
歌の中でBo peepは羊がいなくなっているので、丘の上から羊を探していたのでしょうね。
絵本の最後のページには羊が描かれているので探していた羊は見つかったようです。
Jack and Jill
こちらもマザーグースの歌。
この歌からジャックという名前の男の子の相手と言えばジルという女の子というのが一種のお約束。日本でいえば太郎といえば花子みたいな感じです。浦島太郎みたいにおとぎ話の主人公がだいたい太郎なように、ジャックはよくおとぎ話でもでてきます。
歌の中で丘の上に登っていこうとして転げ落ちるので、絵本でも二人して転んでるのですね。
そして前のページでbo peepが井戸に座っているのも、この二人が歌の中で丘の上に水を汲みに行っているからです。
Wicked witch
これはおとぎ話ではつきものの悪い魔女のことです。
いろんなお話で魔女は出てくるのですが、木の枝(ベリー?)に絡まっているので私が知らないだけでもしかしたら関連の歌が何か存在するのかも。
Robin hood
イギリスの伝説の英雄ロビン・フッドですね。イギリスの民間伝説の架空の人物ですが英語圏全般でとても有名でたくさんの小説や映画で取り上げられています。
弓の名手として知られていて絵本の中でも空飛ぶ魔女に向かって矢を放っていますね。
なぜプラムパイなのか?
この本、Rhymingの本として紹介されることが多い本なのですが、背景にRhymeいっぱいの歌があるわけです。
参考:英語学習に必須のrhyme押韻とは?頭韻(アリタレーション)、脚韻(ライミング)
最初にPeach、Pear、Plum三つの果物の気が出てきます。
これ最初のPでの頭韻でしょうね。さらにpieでPをかさねている。
でもPeachパイでもなく、PearパイでもなくなぜPlumパイなのか?
実はもともEach peach pear plumからはじまる歌がありまして、縄跳びやボールで遊ぶときに歌われていました。
その歌詞を下敷きにしたのがこの絵本なのです。
こういう口伝の歌詞は時代や地域で歌詞がちがってくるのですが、Tom ThumbやRobin HoodやCinderellaなどの有名キャラクターがが出てきて、ほかにも歌われるその時代の有名人(女優さんとか)の名前、最後にS-T-A-R!で終わるというのが一応テンプレのようです。
これにこの本の作者は他のマザーグースの歌の有名人を取り込んでお話にしたのですが、なぜそのキャラを選んだのかというところがとても興味深いです。
例えばJackにthumbにplum pieとみっつそろってるならば絶対に連想するであろう、Little Jack Hornerというこれまた有名なnursery rhyme があります。
Little Jack Horner
Sat in the corner,
Eating his Christmas pie;
He put in his thumb,
And pulled out a plum,
And said, “What a good boy am I!”
この歌の中でジャックはパイを食べているのですが親指(thumb)を突っ込んでプラムをひき出すのです。
そしてWhat a good boy am I!って最後に言うのでもしかして絵本の赤ちゃんは男の子なのかなー?
にしてもこの子の親は誰?
転げ落ちるジャック(男)とジル(女)、橋の下で拾われる赤ちゃん、もしや高貴なお方の御落胤?
・・・・とまぁ深読みしようとするといくらでもできてしまいます。
私みたいな妄想は流石にちょっと行き過ぎですが、前提知識があると、なぜ絵の中にそれが描かれているのかの理解ができるようになってきます。
Mother Goose(Nursery Rhymes)のみんなが知らない重要性
以前こちらの記事にも書きましたが、英語を理解するためにはマザーグースやおとぎ話をスルーしてはいけないのです。